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菊池まりな童話集
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Penulis: 菊池まりな

第1話 虹の橋を渡った猫が教えてくれたこと

Penulis: 菊池まりな
last update Tanggal publikasi: 2026-07-13 16:59:37

 あけみがまだ生まれる前の話です。お父さんがお母さんにこう、切り出しました。

「今度、猫の譲渡会があるんだけど、一緒に行かないか?」

あけみのお父さんもお母さんも、猫が好きで休みが合えば、猫カフェに行くなどしていました。

「いいわねぇ。いつなの?」

「今度の土曜日だよ。」

「わかったわ。一緒に行きましょう!」

お父さんもお母さんもにこにこしながら、その日を待ちました。

そして、譲渡会当日になりました。会場には、たくさんの人が来ています。

お父さんとお母さんも、どの猫にしようか、真剣に見ていきます。

「ねぇ、この子はどうかしら?生後6ヶ月の雌猫ちゃんよ?」

「お、三毛猫かぁ。可愛いなぁ。」

「じゃあ、決まりね!」

お父さんもお母さんも嬉しそうです。猫をお迎え用のゲージに入れ、車に乗せペット用品売り場へ向かいます。

「猫トイレ、猫砂。子猫から食べられるカリカリの餌。あと、おやつに、これはどうかな?」

スティック状の袋に入った、猫のおやつを手に取りながら言います。

「お、そうだな。えーっと、あとは、猫のおもちゃと…。」

お父さんもお母さんも楽しそうに、猫のおもちゃを選びます。

「爪とぎや、爪切りも必要ね。」

「そうだな。それと、お風呂グッズも買っておかないとな。」

ペット用品売場はゲージに入れたペットも一緒に見て回れます。

子猫は最初はにゃーにゃー鳴いていましたが、疲れたのか、おとなしくしています。

たくさんの買い物を済ませ、家に帰宅しました。

「ちょっと買いすぎたかな?」

「大丈夫よ。きっと。」

迎え入れた猫の名前をお父さんとお母さんで、ちゃおと名付けました。猫のワクチン接種や、避妊手術も済ませました。

ちゃおを迎え入れて半年後、お母さんが妊娠していることが分かりました。お父さんも大喜びです。

「最初の子は、流産してしまって残念だったけれど、また戻ってきてくれたんだな。」

「そうね。流れた子は、忘れ物を取りに戻ったって

言われてるものね。」

そうして生まれてきたのが、あけみです。

ちゃおはあけみが家に来てから、時に母親、そして時にお姉さんとなりながら、見守り、一緒に遊んだり、寝るときも必ず一緒でした。

あけみもちゃおが大好きで、

とても可愛がっていました。

しかし、ある日のことです。

「お母さん!ちゃおの元気がないの!!」

あけみがちゃおを抱きかかえて階段を降りてきました。

「どうしたのかしら?」

お母さんが言います。

「動物病院、連れていかなきゃな。」

お父さんも心配そうに、ちゃおを見ながら言います。

「お父さん、お願いね!」

「大丈夫だ。あけみも早く支度して学校に行きなさい。」

「ちゃお、頑張ってね。」

あけみは心配しながら、学校に行きます。

あけみが学校から帰ってきた時でした。ちゃおが起き上がり、にゃーと一声鳴き、あけみの顔を見て甘えてきました。

「ちゃお!頑張ったね。偉かったね!!」

「にゃー。」

あけみがそっとちゃおを抱きかかえると、あけみの帰りを待っていたかのように、ちゃおは静かに息を引き取り、虹の橋を渡ってしまいました。

その時、ちゃおは13歳、あけみは11歳でした。

あけみも、お父さんも、お母さんもみんなで泣きました。そして、ちゃおを棺代わりの段ボールの中に入れ、一緒にたくさんの花を入れてちゃおを火葬しました。

定期的に動物病院へ連れて行き、ちゃおの健康診断を受けていたのでこんなにも突然のお別れが来ることは誰も想像できませんでした。

それから数ヵ月後のことです。あけみは、元気だった頃のちゃおを夢で見るようになりました。

「お母さん、今日もちゃおの夢、見たよ!」

「そう。ずっと一緒だったものね。」

「今日は寒かったからか、布団の中に入り込んで、一緒に寝てたよ。」

いつからか、あけみは夢にちゃおが出てくると、お母さんに報告するようになっていました。

「ちゃおは、幸せだったかなぁ?」

「ちゃおは、少なくとも、私たちを幸せにしてくれたわ。あけみも、そう思わない?」

「そうだね。私、ちゃおのこと、大好きだった…。」

あけみが涙を流しながら言います。

「お母さんも、ちゃおを迎え入れて本当に良かったと思っているわ。」

それからまたしばらく経ったある日のことです。あけみは不思議な夢を見ました。

黒猫と、ちゃおの結婚式の夢です。あけみはまだ、結婚式に出席したことはなく、広い会場内を彷徨い歩きます。

「ここは、どこだろう?賑やかだし、きっと何かのパーティーね!」

会場内を少し歩いたところに、お父さんとお母さんの控え室がありました。

「あら、あけみ!来たのね。」

控え室のドアを開け、お母さんが言います。

「お母さん!これは何のパーティーなの?」

「今に分かるわよ。」

あけみは会場をうろうろします。すると、おじさんとおばさんから声を掛けられます。

「やっと見つけたわ!あけみちゃんね?」

「はい。そうですけど…。」

おじさんは黒猫を抱っこし、おばさんはちゃおを抱っこしています。

「この子にこの首輪を着けてあげてほしいの。」

おばさんがあけみに、綺麗な花が付いた首輪を渡します。

「はい。…これでいいですか?」

「ありがとう。今日はこの子たちの結婚式なの。」

「あけみちゃんも一緒に、祝ってくれるかい?」

あけみはようやく、黒猫とちゃおの結婚式だと理解しました。

「もちろんです!」

披露宴会場に移動します。高砂には、黒猫とちゃおがちょこんと座っています。

司会が、次は花嫁から、ご家族へ、お手紙です。と言うと、ちゃおはマイクまで移動し、猫の姿から、美しい花嫁姿になり、あけみや、お父さん、お母さんに対し感謝の言葉を綴った手紙を読み上げたのです。

あけみも、お父さんとお母さんもぼろぼろ泣いてしまいました。

手紙を読み終わったちゃおは、元の猫の姿に戻り、また、黒猫の隣に座りました。

あけみはきょとんとしています。あけみは思わず、頬をつねってみました。痛くありませんでした。

夢だとわかり、安心したのと、ちゃおが幸せそうで嬉しいのとで不思議な気持ちで、朝を迎えました。

「お母さん!今日はね、ちゃおの結婚式の夢を見たの!」

あけみは起きてくるなり、キッチンにいるお母さんに向かってそう言います。

「あら?あけみも?実は、お母さんも、ちゃおの結婚式の夢を見たの。」

あけみとお母さんは顔を見合わせながら不思議そうにしつつも、話します。

「ちゃおが幸せなら、それでいいんだ。」

「そうね。」

「何の話だ?」

どうやらお父さんは夢を見ていなかったようです。

「こっちの話よ。」

お母さんはあけみにウィンクをし、お父さんにそう言います。

また、数ヵ月が過ぎました。もう、夢にもちゃおは出てこないのか、とあけみは半ば諦めかけていた時です。

再び、夢の中でちゃおに会うことが出来ました。ちゃおは大きなお腹をして、ゆっくりとあけみの枕元に近づき、こう言いました。

「あけみ、子猫を生んだら、私、ここにいてもいいかなぁ?」

「ちゃおが好きなようにしていいよ。」

ちゃおは、2匹の子猫を生みました。

「王子(黒猫)は若くて、とても優しくて素敵な猫よ。でも、私は歳だし。広いお屋敷の中を追いかけっこしてもとても敵わないの。」

「ちゃおの幸せが、私たちの幸せだよ。だから、ちゃおが幸せになるんだったら、王子のもとに帰っても、ここにずっといてもどちらを選んでも、ちゃおが幸せならそれでいいからね。」

「ありがとう…。」

ちゃおは生まれた2匹の子猫にミルクを与えながら、ペロペロと舐めています。

翌朝、あけみは目が覚めて起き上がり、いつものように、お母さんに夢の内容を報告します。

「ちゃおがね、2匹の子猫を生んだの。」

「…っ!え?ちょっと待って!!もしかして…!」

お母さんの生理が遅れていることに気付き、驚いています。この時お母さんは38歳です。

「今日、病院に行ってくるから。まだ、確定ではないから、お父さんには内緒ね。」

「わかった。」

お父さんが起きてきました。

「なんだ?また二人で内緒話かぁ?」

あけみとお母さんは目を合わせると

「そのうち、分かるわよ。」

と言いました。

「そのうち、かぁ…。まあ、いいや。」

「ほら、あけみもお父さんも早くご飯食べて!」

「はーい。」

「分かったよ。」

あけみとお父さんはご飯を食べ、あけみは学校へ、お父さんは会社へ向かいました。

お母さんは身仕度を済ませると、産婦人科に行っていました。

「あら!双子ちゃんですね。おめでとうございます。」

「…っ!」

お母さんは思わず泣いてしまいました。

「ありがとうございます。」

お母さんは病院を出ると、そのまま役所へ行き、母子手帳を2冊交付してもらいました。

あけみが学校から帰宅してきました。

「お母さん!どうだった?」

「やっぱり妊娠してたわ!しかも、双子なの!!」

「え?双子なの?私が見た夢って!!」

「ちゃおが教えてくれたのかもね。」

夕方を過ぎ、お父さんが帰宅してきました。

「ちょっと相談なんだけど、いいかな?」

「なあに?相談って?」

「今度、猫の譲渡会があるんだけど…。ペットロスで寂しいだろうと思ってさ。」

「それよりね、私から報告があるの!」

「なんだい?」

「双子を妊娠したの!」

お母さんは、お腹を優しく撫でながら言います。

「えっ?本当なのか?あけみに兄弟が出来るのかぁ。あけみもついにお姉ちゃんかぁ…。」

お父さんは感慨深げに言います。

「これからまた、忙しくなるわよ!」

「私に出来ることなら、手伝うから!」

「お父さんだって!」

あけみたち家族は幸せを噛み締めていました。

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